注意: 最新版のドキュメントをご覧ください。この第1版ドキュメントは古くなっており、最新情報が反映されていません。リンク先のドキュメントが現在の Rust の最新のドキュメントです。
なんらかの繰り返しを伴う処理に対して、Rust言語は3種類のアプローチ: loop
, while
, for
を提供します。
各アプローチにはそれぞれの使い道があります。
Rustで使えるループのなかで最もシンプルな形式が、無限 loop
です。Rustのキーワード loop
によって、
何らかの終了状態に到達するまでずっとループし続ける手段を提供します。Rustの無限 loop
はこのように:
loop { println!("Loop forever!"); }
Rustには while
ループもあります。このように:
let mut x = 5; // mut x: i32 let mut done = false; // mut done: bool while !done { x += x - 3; println!("{}", x); if x % 5 == 0 { done = true; } }
何回ループする必要があるか明らかではない状況で、while
ループは正しい選択肢です。
無限ループの必要があるとき、次のように書きたくなるかもしれません:
fn main() { while true { }while true {
しかし、こういった場合には loop
の方がずっと適しています。
loop {
Rustの制御フロー解析では、必ずループすると知っていることから、これを while true
とは異なる構造として扱います。
一般に、コンパイラへ与える情報量が多いほど、安全性が高くより良いコード生成につながるため、
無限にループするつもりなら常に loop
を使うべきです。
特定の回数だけループするときには for
ループを使います。しかし、Rustの for
ループは他のシステムプログラミング言語のそれとは少し異なる働きをします。
Rustの for
ループは、次のような「Cスタイル」 for
ループとは似ていません:
for (x = 0; x < 10; x++) {
printf( "%d\n", x );
}
代わりに、このように書きます:
fn main() { for x in 0..10 { println!("{}", x); // x: i32 } }for x in 0..10 { println!("{}", x); // x: i32 }
もう少し抽象的な用語を使うと、
fn main() { for var in expression { code } }for var in expression { code }
式(expression)はIntoIterator
を用いてイテレータへと変換可能なアイテムです。
イテレータは要素の連なりを返します。それぞれの要素がループの1回の反復になります。
その値は名前 var
に束縛されて、ループ本体にて有効になります。いったんループ本体を抜けると、
次の値がイテレータから取り出され、次のループ処理を行います。それ以上の値が存在しない時は、
for
ループは終了します。
例示では、0..10
が開始位置と終了位置をとる式であり、同範囲の値を返すイテレータを与えます。
上界はその値自身を含まないため、このループは 0
から 9
までを表示します。 10
ではありません。
Rustでは意図的に「Cスタイル」 for
ループを持ちません。経験豊富なC開発者でさえ、
ループの各要素を手動制御することは複雑であり、また間違いを犯しやすいのです。
ループ中で何回目の繰り返しかを知る必要があるなら、 .enumerate()
関数が使えます。
for (i,j) in (5..10).enumerate() { println!("i = {} and j = {}", i, j); }
出力:
i = 0 and j = 5
i = 1 and j = 6
i = 2 and j = 7
i = 3 and j = 8
i = 4 and j = 9
レンジを括弧で囲うのを忘れないで下さい。
for (linenumber, line) in lines.enumerate() { println!("{}: {}", linenumber, line); }
出力:
0: Content of line one
1: Content of line two
2: Content of line three
3: Content of line four
さきほどの while
ループを見てみましょう:
let mut x = 5; let mut done = false; while !done { x += x - 3; println!("{}", x); if x % 5 == 0 { done = true; } }
ループをいつ終了すべきか知るため、ここでは専用の mut
なboolean変数束縛 done
を用いました。
Rustには反復の変更を手伝う2つキーワード: break
と continue
があります。
この例では、 break
を使ってループを記述した方が良いでしょう:
let mut x = 5; loop { x += x - 3; println!("{}", x); if x % 5 == 0 { break; } }
ここでは loop
による永久ループと break
による早期脱出を使っています。
明示的な return
文の発行でもループの早期終了になります。
continue
も似ていますが、ループを終了させるのではなく、次の反復へと進めます。
これは奇数だけを表示するでしょう:
for x in 0..10 { if x % 2 == 0 { continue; } println!("{}", x); }
入れ子のループがあり、break
や continue
文がどのループに対応するか指定する必要がある、
そんな状況に出会うこともあるでしょう。大抵の他言語と同様に、 break
や continue
は最内ループに適用されるのがデフォルトです。
外側のループに break
や continue
を使いたいという状況では、 break
や continue
文の適用先を指定するラベルを使えます。
これは x
と y
両方が奇数のときだけ表示を行います:
'outer: for x in 0..10 { 'inner: for y in 0..10 { if x % 2 == 0 { continue 'outer; } // x のループを継続 if y % 2 == 0 { continue 'inner; } // y のループを継続 println!("x: {}, y: {}", x, y); } }